明けぬ闇 光ひとすじ差し入りて 花はひらかん 高野のみやま
滴塵030
本文
明けぬ闇 光ひとすじ差し入りて 花はひらかん 高野のみやま 要点
現代語訳
暗い夜が明け、一本の光が差し込み、花が開く。高野の御山にて。 注釈
解説
深掘り_嵯峨
滴塵029に続く、高野山を舞台にした求道の歌です。「明けぬ闇」という絶望的な苦難の状況に、「光ひとすじ」が差し込むという劇的な瞬間が描かれています。 この光は、厳しい修行の果てに訪れる啓示であり、それによって「花」(悟りや菩提心)が開く(成就する)という強い確信が込められています。闇が深いほど光が際立つ(滴塵019)というテーマの変奏であり、希望と達成の力強さを感じさせる歌です。