明けぬ闇 光ひとすじ差し入りて 花はひらかん 高野のみやま
滴塵030
本文
明けぬ闇 光ひとすじ差し入りて 花はひらかん 高野のみやま
形式 #短歌
カテゴリ #5.自然・風景
ラベル #光 #花 #高野山 #朝 #自然現象
キーワード #闇 #光 #花開く #高野山 #夜明け
要点
闇が明け、光が差し込み花が開く高野山の情景。
現代語訳
暗い夜が明け、一本の光が差し込み、花が開く。高野の御山にて。
注釈
明けぬ闇:終わりの見えない、深い闇。煩悩や迷いのメタファー。
光ひとすじ:絶望的な状況の中の唯一の希望、悟りのきっかけ、または仏の慈悲。
花はひらかん:悟りの成就、あるいは仏性の開花。
高野のみやま:高野山。仏道修行の場。
解説
自然の夜明けと花開く瞬間を通じて、新しい始まりや希望を象徴。光と花の描写は、密教的象徴や精神的目覚めとも呼応し、自然美と精神体験の融合を表現。
深掘り_嵯峨
滴塵029に続く、高野山を舞台にした求道の歌です。「明けぬ闇」という絶望的な苦難の状況に、「光ひとすじ」が差し込むという劇的な瞬間が描かれています。
この光は、厳しい修行の果てに訪れる啓示であり、それによって「花」(悟りや菩提心)が開く(成就する)という強い確信が込められています。闇が深いほど光が際立つ(滴塵019)というテーマの変奏であり、希望と達成の力強さを感じさせる歌です。